はじめに企業の生産性向上や業務改善を目的として、AI技術の導入が広がりを見せています。中でも注目されているのが、日常的に発生する定型業務の自動化です。たとえば「会議議事録の作成」。どの企業にも存在するこの業務は、見過ごされがちですが、毎回多くの時間と人的リソースを必要とします。今回は、AIを活用して会議議事録作成を効率化する方法について、具体的なツールと運用の実例を交えて紹介します。会議議事録が抱える課題会議の記録は重要です。発言内容を整理・記録し、参加者および関係者へ共有することで、意思決定の透明性を担保し、後々のトラブルも防ぐことができます。しかし、その反面、以下のような課題も抱えています:複数人の発言を聞きながらリアルタイムでメモを取るのが難しい議事録の構成や表現に時間がかかる会議後すぐに共有できず、対応が後手に回ることがあるこれらの作業は定型的である一方で、会議ごとに発生するため、地味に大きな負担となりがちです。tl;dvを活用した自動化のアプローチこうした課題を解決する手段として、tl;dvというAIサービスに注目してみました。このツールはZoomやGoogle Meetなどのオンライン会議サービスと連携して、次のような機能を提供しています:会議の録画リアルタイム文字起こし(複数言語対応)自動要約生成(会議の要点を簡潔に整理)発言内容と録画のタイムスタンプ連携会議終了後の自動共有このような機能により、議事録作成にかかる一連の作業を大幅に効率化することが可能です。導入・運用における工夫ツールを導入すればすぐに全てが自動化されるかというと、実際にはそう簡単ではありません。AIによる文字起こしの精度は高いものの、業界特有の用語や社内文化的な言い回しへの対応、最終的な文書の整形など、人の手による確認や補完は依然として重要です。※AIによるものという前提とし補完・修正は行わないという判斷をする場合もありますまた、使い始めた直後は、どの会議を記録対象にするか要約内容の粒度をどうするか社内でどのように共有するかといった点を調整しながら、自社にフィットさせていく必要があります。導入のメリットと実感できた効果実際にこの仕組みを取り入れた結果、以下のような変化が見られました:会議後の議事録作成にかかっていた平均1時間以上の作業時間が、数分の確認作業のみに過去の会議内容を録画・文字起こしで瞬時に検索できるようになった会議参加者が発言に集中できるようになり、議論の質が向上単なる「自動化」ではなく、業務の質を維持しながら効率も上げるという点で、非常に実用的な手段だと感じています。おわりにAIツールを活用した会議議事録の自動化は、どの企業にとっても導入しやすく、効果を実感しやすい分野です。ただし、ツールの選定や活用方法、社内の運用フローに合わせた調整が必要な場合もあります。私自身、個人事業主としてこうしたAI導入の支援や、会議議事録の構築・運用支援などもお手伝いしています。もし、AIを使った業務効率化や導入支援に関心がありましたら、お気軽にご相談いただければと思います。