〜どの企業でも導入可能なAI活用による業務効率化の試み〜業務効率化は「どこでも使える」から始める業務効率化というテーマは、あらゆる企業やチームにとって共通の関心事です。社内システムの改善やフローの最適化といった取り組みはもちろん重要ですが、今回は「どの企業でも導入可能な共通業務」に焦点を当て、効率化ツールのプロトタイプを個人開発しました。注目したのは「問い合わせメール」の確認作業。多くの企業が日常的に対応しているこの業務には、手間や時間、そして心理的ストレスが大きく伴います。「顧客からのメールをひとつひとつ確認して、必要な内容を抽出して、適切な対応を振り分ける」——この作業を自動化できれば、どの企業にとっても恩恵が大きいのでは?という仮説から、今回の開発はスタートしました。開発の背景と基本構成開発は完全にプライベートの時間を使って進めました。本業や副業とは切り離した「趣味に近い取り組み」ですが、実用性と汎用性を重視しています。なぜ「メール」だったのか?理由は明快で、どの企業でも問い合わせの窓口としてメールを利用していること、そしてその確認作業が多くの時間と労力を要する部分であること。AIの得意分野である「テキスト要約」と「感情分析(ネガポジ判定)」を使えば、ここを大幅に自動化できると考えました。機能の概要ツールの機能はシンプルに3ステップで構成されています:メール受信Gmail API を通じて指定のアカウントに届いたメールを定期的に取得。AI処理(ポジネガ判定+要約)OpenAI APIを活用して、本文から感情傾向(ネガティブ・ポジティブ)を自動判定し、さらに要点を要約。Googleスプレッドシートに出力日付・送信者・件名・感情傾向・要約などを1行で一覧表示できるよう出力。最初のプロトタイプとしては、これだけでも実用に耐えるシンプルな形になりました。Googleの各種APIを中心に構成しているため、Google Workspaceを業務利用している企業であれば導入のハードルも低いはずです。クラウド展開と運用のイメージツール自体はローカルでもクラウドでも動かせますが、運用を想定するとCloud Runなどのサーバーレス環境に常時展開するのが現実的です。維持費はそこまで高くありませんが、企業ごとにアカウントを分けて構築する形にすればセキュリティや費用管理の面でも適切です。スプレッドシートでの出力は可視性が高く、初期の実証としては優れた方法ですが、将来的にはBigQueryやCloudSQLに連携してDBとして保存・分析することも十分に可能です。たとえば「今月に届いたネガティブな問い合わせの傾向を分析して改善策を立てる」ようなマーケティング的活用も視野に入ります。フォーム投稿への応用可能性さらに発展的な構想として、「問い合わせフォーム」からの入力に対応することも視野に入れています。例えばGoogleフォームや自社Webサイトに設置した問い合わせフォームの内容をリアルタイムに解析する仕組みです。フォームの仕組み次第では即座に対応可能です。たとえばGoogleフォームであれば、送信内容をスプレッドシート経由で受け取ることができるため、今の仕組みにそのまま連携させることも可能です(※こちらは未検証のため今後の検証課題)。一方で、WordPressなど他のフォームプラグインについてはそれぞれの仕様を調査し、WebhookやAPI連携などによる接続方法を確立する必要があります。結論:汎用的な効率化ツールとしての可能性今回開発したツールは、以下のような特徴を持ちます:AIを使った自動分類・要約で確認工数を削減クラウド実行で常時動作が可能Googleサービスとの親和性が高く、導入コストが低いDB接続やフォーム対応への拡張も視野に入るプロトタイプとしては十分に機能しており、あとは使い方に合わせて柔軟に拡張できる構成です。個人の開発としても楽しく、またビジネスシーンでの応用価値も高い試みとなりました。どの企業にも存在する「メール確認」という共通業務に対して、少しの技術と工夫で大きな効率化が可能になる——そんな可能性を感じる取り組みになったと思います。興味を持ってくださった方へ本記事で紹介したツールは、あくまでプロトタイプながらも、実際の業務フローへの導入を想定した柔軟な設計が可能です。AIを活用した業務効率化に興味がある、あるいは自社の課題にフィットするか相談してみたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひ当サイトの 相談・壁打ちサービス をご活用ください。導入の可能性、カスタマイズの方向性、技術的な懸念点など、初歩的なご相談から実装段階の壁打ちまで幅広く対応可能です。また、具体的なご依頼やプロジェクトのご相談を希望される場合は、お問い合わせフォーム よりお気軽にご連絡ください。あなたの業務効率化のお手伝いができることを、心より楽しみにしております。